ビタミンCたっぷりの冬の味覚
秋の深まりとともに青々としていたポンカンの果実も徐々に黄色く色づいてきています。今年は色づきが早い方なのでしょうか。左の写真は11月7日に撮影したものです。
ポンカンもいろいろあります。ウィキペディア(Wikipedia)によると、「高梢系」の「吉田」「今津」「薩州」と、「低梢系」の「太田」「森田」「興春」があるそうです。
ちなみに高梢系は果実が腰高で大果になり、低梢系は果実がやや扁平で小果、種が少ないという特徴があると書いてあります。
志手ポンカンはどっちの系統でしょうか。志手ポンカンは種が結構あります。ならば種が少ない低梢系でなく、高梢系でしょうか。では果実の大きさはと見ると、大きなのも小さなのもあったりします。素人にはよく分かりません。
連載2回目の前回は、志手ポンカンに関する地元紙・大分合同新聞の記事を集めて紹介しました。地元紙の記事では志手ポンカンをどう説明したのでしょう。
1993(平成5)年から2001(平成13)年までは9年連続で掲載された「志手ポンカンの出荷」の記事を改めて見直してみました。
記事の書き出しを古い順に並べてみると、
甘い香りとビタミンCたっぷりの果実がおいしいと評判の(1993年)
甘い香りと豊富なビタミンCで人気がある(1994年)
冬の味覚(1995年)
ビタミンCたっぷりの冬の味覚(1996年)
フレッシュな冬の味覚(1997年)
ビタミンCたっぷりの冬の味覚(1998年)
ビタミンCたっぷりの冬の味覚(1999年)
冬の味覚(2000年)
ビタミンCたっぷりの冬の味覚(2001年)
「ビタミンC」がキーワードのようです。ただ、これでは志手ポンカンが“何者か”を特定する材料にはなりません。
一般にミカン類はビタミンCが豊富なイメージがあります。志手ポンカンの特徴を語っているようで語っていない「ビタミンCたっぷりの」という形容詞は何に由来するのでしょう。一つ心当たりがありました。
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志手柑橘生産組合が出していた「大分志手ポンカンの栞」があります(下の写真)。
志手ポンカンの特徴の一つとして挙げたのが「ビタミンCをたっぷり含んだ果実」であることでした。
では「糖度13度以上、クエン酸0.8%以下」とはどういうことか。果実中の糖と酸の割合を「糖酸比」と言うそうです。糖度が10度で酸が1%なら糖酸比は10になる計算です。
志手ポンカンの栞に書かれた糖度と酸の割合(糖酸比)は16.25以上となり、ミカン類として極めて甘いと言えます。
志手ポンカンの栞は「香りよく」「極めて甘く」「ビタミンCがたっぷり」の果実と、その特徴を説明しています。
この中で一番わかりやすい「ビタミンC」の部分が新聞記事の形容詞として残ることになったのでしょう。
ちなみに一般的にポンカンなどの中晩柑類は普通のミカンよりも多めにビタミンCを含んでいるのだそうです。
「志手ポンカンの栞」を読んでも、志手ポンカンが(「高梢系」とか「低梢系」だとか)どんなポンカンに分類されるのか分かりませんでした。考えてみれば生産者にとっても消費者にとっても甘くておいしい“ミカン”であれば、それだけでいいとも言えそうです。
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